ごあいさつ

はじめまして。

私は趣味でコーポレート・ガバナンス(企業統治)等に関する勉強をしている者でして、このブログでは、私自身の備忘等のため、読んだ論文を紹介する記事等をダラダラと書いていきます。時折、論文紹介以外に、最近の話題に触れることもあるかもしれません。

興味のない方は、ブラウザをそっ閉…と書きかけましたが、こんなブログをわざわざ開く人の方が少ないですよね。この広い世界に一人でも読んでくれる方がいてくださったら本当にうれしいです。普段、文章を書きなれていないので、読みにくいこともあると思います。また、間違ったことを書くこともあると思います。コメント等でご指摘いただけたら本当にありがたいです。

 

定義

 第一回の記事としてこれだけではなんなので、コーポレート・ガバナンスという言葉の定義に関して少し述べようと思います。

 

 

定義として有名なのは、イギリスのCadbury Report (1992)

http://www.ecgi.org/codes/code.php?code_id=132

"the systems by which companies are directed and controlled"

ですね。この定義は欧州委員会(European Commission)にも支持というか採用されています。

http://ec.europa.eu/internal_market/company/docs/modern/com2011-164_en.pdf

 

普通の定義ですね。まあ、そんなもんだよなという感じです。非常にプレーンで、特にひっかかるところはありません。

 

 

OECDによる定義もあります。

"a set of relationships between a company’s management, its board, its shareholders and its other stakeholders"

OECD Principles of Corporate Governance (2004)

http://www.oecd.org/corporate/ca/corporategovernanceprinciples/31557724.pdf

 

"and its other stakeholders"として、株主以外の利害関係者も念頭に置いているところがポイントなんですかね。

 

 

Yale Law SchoolのJonathan R. Macey教授は、Corporate Governance: Promises Kept, Promises Brokenという著書の冒頭で("定義"とはちょっと違うような気がしますが)、

"... corporate governance is about reducing deviance by corporations where deviance is defined as any actions by management or directors that are at odds with the legitimate, investment-backed expectations of investors"

というように述べられています。

これもなるほどなという感じですね。"expectations of investors"ということで、それ以外の人(例えば従業員)のexpectationsはスコープに入っていないということがわかります(この本は冒頭しか読んでいないため何とも言えませんが、"investors"という言葉を使っているのは、debtholderは含むという意図なのかもしれません。)。

 

 

このようにいくつか挙げてみましたが、コーポレート・ガバナンスという言葉の定義というのは、まあ、別にどうでもいいですよね*1。「ふ~ん、なるほどね」という程度の話になります。ただ、株主のことを中心に考えるか、それ以外の利害関係者のことも考慮するか、という基本的なスコープの不一致がある(そして、国によって異なる制度が採用されている)ことは認識しておいて損はないと思います。

 

 

次回は論文の紹介をする予定です。

*1:少し前に、日本でも、「会社は誰のものか」といったことが一部で話題になったことがありました。当時の議論をきちんと追っていたわけではないのですが、どうしてあのようなことがあれほど話題になっていたのでしょうか。これについても機会があれば書きたいと思います。